簡単に開錠できない防犯性能、マグネットタンブラー錠の特徴

マグネットタンブラー錠というものがあります。これはマグネットの性質をタンブラー錠に活かして、実際にマグネットを使ってタンブラーの内部を鍵とくっつけずに回転させるというものです。

これのおかげでタンブラー内部で物理的にタンブラーを露出させる必要がありませんので、ピッキングが不可能になります。これだとマグネットが弱くなったらあけることができなくなるなどのデメリットはあるのですが、それでも今現在、非常に有効な防犯性を持っています。

最強のピッキング対策、マグネットタンブラー錠の仕組み

今のところ、鍵とシリンダーを使っての防犯性を高めるのに、これほど優れたものはありません。 マグネットタンブラー錠はS極とN極は引かれあい、S極同士とN極同士は反発しあうという性質を使ったものです。内部にピン状態のマグネットタンブラーを配置して、ばねでタンブラーを押し付けています。鍵にはタンブラーに合うようにマグネットが埋め込んであります。すべてのタンブラーがマグネットと反発しあうと、外筒に収まり、内筒を回転させることが可能となるのです。反発の性質を活かして、鍵とシリンダーの内部に同じ極を設定し、反発して離れたところで回転させ、ロックを解除するしくみです。

マグネットタンブラー錠がなぜ優れているか

マグネットの反発は、触れなくても可能なものです。そのため、鍵の内部でシリンダーが物理的に鍵と接することがありません。そうなると、鍵が物理的に触れませんので、ピッキングが難しくなります。ほぼ不可能な状態になります。大切なのは使っている反発の力ですから、針金を差し込んだ状態ではピッキングができなくなるのです。防犯対策として、ピッキングにこれほどの効果があるものはありません。今のところ、防犯性を高めるのにピッキング対策として、マグネットタンブラー錠はもっとも強い効果を発揮します。物理的に触れませんので、何かを差し込んで開錠するのはほぼ不可能となります。

ただこのマグネットタンブラー錠にも弱点はあって、二極しかないので作れる鍵の種類が限られていることと、マグネットが弱くなってしまった場合に、鍵が動かなくなってしまう可能性があることです。こうなると日常に差し障りがありますので、導入には注意が必要です。ですが、防犯効果は高く、マグネットタンブラー錠は非常におすすめの鍵となっています。ドアノブにぜひ検討してみてください。

鍵の防犯に関する用語集

・補助錠

主錠の他に、防犯性を高める目的で補助的にとりつける、もうひとつの錠前のことです。錠前がひとつよりふたつであるほうが、侵入に時間を要すると思わせることのできる防犯対策です。

・サムターン回し

ドアにドリルなどを使って穴を開け、金属の棒を使ってドア内側のつまみ、サムターンを回転させて解錠してしまう犯罪の手口のことをいいます。 ドアとドア枠の間に工具を差し込むことで解錠する手口や、ドアスコープ、ドアの郵便受けなどから狙われる手口もあります。 建物のドアの材質によっては、ハンドドリルや針金などで比較的簡単に穴が開いてしまうものもあります。電動ドリルを使用するとモーター音がならないので、周りに気づかれることが無いまま簡単に侵入されてしまうケースが多発しています。

・１ドア２ロック

１つのドアに錠を２つつけることを言います。補助錠をつけて防犯性を高める効果があります。錠が２つついていることにより、侵入に要する時間も2倍以上かかることになり、見た目で侵入をあきらめさせることができます。 玄関だけでなく、勝手口も１ドア２ロックにしましょう。国土交通省の「防犯設計指針」で奨励されています。

・バンピング

バンプキーと呼ばれる鍵山が特殊な配列をした鍵を使い、正規の鍵を使わず解錠する犯罪の手口のことです。シリンダー、特にピンシリンダー錠を開けるために種類に合わせて開発されています。70年以上前からある伝統的な犯罪手法ですが、現在はピンシリンダー錠より防犯性の高い鍵が使われているので、心配する必要はありません。

・CPマーク

2004年5月、官民共同会議では「防犯性能の高い建物部品」の普及を促進するため、「共通呼称（防犯建物部品）」と「共通標章（CPマーク）」を制定しました。「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載・公表された建物部品のみを「防犯建物部品」と呼び、「CPマーク」の使用が認められるのです。CPとは、防犯=Crime Preventionの頭文字をとったものです。 鍵業界では、美和ロック株式会社のシリンダーが認定されています。