ピッキングで鍵を開ける時に使用する鍵屋の工具とは

今となっては、ほとんどの方が言葉の意味をご存知の「ピッキング」ですが、これは2000年前後に住居侵入窃盗の手口として広がり、大きな社会問題となったためです。しかし、本来ピッキングは窃盗犯特有の技術ではありません。我々プロの鍵屋も日々メーカー各社のカギに取り組み、開錠方法を解析しトレーニングを積んでいます。このページではプロの鍵屋がピッキングでカギを開ける方法と工具などについてご説明していきます。

鍵屋がピッキングで使用する方法と工具

基本的にピッキングは「ピックとテンション」と呼ばれる2本の金属部品で行います。カギの施・解錠時には、「カギを奥まで挿し込みひねる」という動作があります。ピッキングによる開錠作業では、テンションによってカギをひねる動作を担い、ピックによって鍵が鍵穴の奥までしっかり入った状態を作りだします。シリンダー錠の鍵穴中には、ピンと呼ばれる障害物が複数仕込まれています。それらがシリンダー内の中筒と外筒を遮る位置で止まっているため、鍵が回らない仕組みになっています。正しいカギを差し込むと、刻みキーのギザギザやディンプルキーのデコボコが、ピンを中筒と外筒の中間点まで押し込むため、シリンダーが回転できるようになるということです。

シリンダー内のピンをピッキングツールで操作する

この時難しいのが、ピンを使ってシリンダー内のピンを正しい位置に揃える作業です。テンションで時計回り方向に軽く力を掛けながらこの作業を行うのですが、正しい鍵が入ったときのようにピンが同時に揃う必要があります。また各社とも、セキュリティ性能を高めるためにダミーのピンを入れるなど対策が取られていますので、ここが腕の見せどころになります。また各社それぞれが、不正開錠を行いにくいように鍵穴形状に工夫を凝らしていることから、鍵穴内はモデルによって異なります。このため実際は、ピックとテンションもピッキングを行うシリンダーごとに様々な形のものを用意して適宜使用します。

鍵屋があえてピッキングを行わないケース

近年では、CP-C認証と呼ばれるカギのセキュリティ性能をチェックする試験に合格した製品も増えてきています。この種のハイセキュリティシリンダーは、5分・10分というピッキング耐久時間テストを行い認証が与えられたものです。実際にこのようなシリンダーをピッキングで開錠する場合、我々の様なプロが行っても30分から1時間以上掛かってしまいます。このため作業工賃が跳ね上がるケースも多く、現実的にはドリルやサンダーを使用してカギを破壊する破錠という手法でカギを開け、新しいシリンダーに交換するケースも多くなっています。やはりお客様のニーズは、なるべく安く短時間でカギを開けてほしいということですから、その場の状況に応じた判断を行い適切な対応を行っています。鍵紛失でお困りのときはカギのプロにおまかせください。日本前項へ最短20分で駆けつけます。