ダイヤル鍵の仕組みと防犯性能について

金庫やポスト、回転式ダイヤルが複数付いたスーツケースや南京錠など、鍵を持ち歩かなくて済むことから、日常生活の様々な所で使用されているダイヤル式の錠前です。暗証番号さえ覚えていれば誰にでも施錠・解錠可能で、スペアキーを用意する必要がないうえに、鍵紛失の危険性もありません。このように数々のメリットがあるダイヤル錠ですが、防犯性能についてはどの程度の物なのでしょうか？このページでは「ダイヤル錠の仕組みと防犯性能」と題し、ダイヤル錠によって異なる防犯性能や、使用される上での注意点などについてご紹介します。

ダイヤル式南京錠の仕組み

スーツケースや南京錠で使用されている、ダイヤル錠の構造は比較的シンプルなものです。一般的に3または4つのダイヤルがありますが、この数だけ円盤状のプレートが入っており、各暗証番号の部分にだけロック側のパーツが通り抜けられる窪みが開いています。このため正しい番号が揃った時だけロック解除できるという仕組みです。南京錠では、シャックルと呼ばれるU字型の金属部品が、縦方向に可動することで解錠しますが、スーツケースの場合は横方向にバーがあり、切欠きが揃った時に解錠可能になります。このように向きが異なるだけで、基本的には同じ仕組と考えて間違いありません。

金庫やポストのダイヤル錠の仕組み

金庫やポストで使用されているダイヤル錠も、障害物となっている円盤の正しい番号のところに切り欠きがあり、全ての番号が揃った時に開錠可能になるという仕組みは同様です。しかしより高度な工夫がなされているため、解錠難易度は大きく異なっています。南京錠などはどちら方向に回しても、正しい番号に揃えさえすれば解錠可能ですが、金庫やポストのダイヤル錠では、暗証番号を合わせる際に「ダイヤルを回す方向」を指定されている所にポイントが有ります。この種のダイヤル錠は「右回りに4回以上回してから、左回りで最初の番号を合わせる」といった形で、開錠方向と順番が指定されていますが、この最初に回す4回は鍵をリセットする作業になります。この回数と同じ枚数の円盤が内部に入っており、暗証番号の数とイコールですから、一般的な金庫は4枚、ポストは2枚円盤が入っているということになります。金庫のダイヤル錠の開錠が難しい理由は、ダイヤルを回すときに正しい番号を通り過ぎた場合、それまでに合わせた番号が全てズレる仕掛けになっており、最初からやり直しになるからです。この仕組により飛躍的に防犯性能が高まっていますが、暗証番号を忘れた場合は持ち主にさえ手に負えないものとなります。

ダイヤル錠の防犯性能

このように南京錠やスーツケースのダイヤル錠は、総当りで簡単に開いてしまいますので、防犯性能という意味ではあまり期待できません。確かに金庫の鍵も総当りが可能なのですが、一回あたりの作業手順が多いため、事実上不正開錠は難しいものです。もちろん工具などで物理的な攻撃を与えられた場合は、金庫ごとに異なる本体やダイヤルの堅牢性に依存します。ご利用中のダイヤル錠の防犯性能に不安がある。より防犯性をアップしたいということであれば、鍵と住宅のプロにご相談ください。